キハ40系 No.075
「桜咲く漁港と紀勢本線」 二木島港俯瞰

紀勢本線 二木島〜賀田

 ローカル線との組み合わせも非常に良い、地方にある小規模の漁港。海沿いを走る路線ならば必ずチェックしたい組み合わせだが、海沿いを走る紀勢本線も例外ではなく漁港のすぐ裏に線路がある場所がいくつかある。今でもキハが残っていたなら新規アングル開拓をしてみたかったと思える場所もあるが、もう訪れることも無いだろう。

 以前、築地で「全国主要産地地図」なる名称の、全国の漁港名がびっしりと記入された日本地図を見せてもらった際に、記載があり驚いたのが二木島港。ここで撮っていた頃はそこまで大きい漁港という印象はなかったが、漁業関係者なら知る人ぞ知る地名なのだろうか。個人的には地上から停泊中の船と共にキハを狙ったり、南側の斜面から鵜殿貨物最終便を見送ったりと、思い出がいくつか残る土地だったので、その名前を見た時は懐かしさと共に少し嬉しい気持ちにもなった。

 二木島といえば国道からの見下ろしアングルが最もお手軽だが、貨物の撮影地として適していないためか写真を見かける機会は少なかった。個人的には漁港を見下ろす角度が絶妙で、沿線で一番好きな撮影地と言っても過言ではないほど気に入った。

 漁港の存在だけでも絵になる場所だが、集落内には桜の木が何本か植えられている。情報が皆無の中で満開の日を狙うのはやや難易度が高かったが、他路線の桜撮影地を踏まえた上でも最重要課題として位置付けていたので、確実な晴れ予報の日を狙い、勇気を出して西へ向かった。

 夜通し走って現地に到着し、夜明けと共に桜の状況を確認する。もしダメであっても他路線へ移動できる場所でも無いが、まずは心を落ち着かせたいというのが本音だろう。幸いにもほぼ満開と言って良いレベルには咲いていたので、予定通りに撮影を進めることにした。

 山間を切り裂くように、湾に沿って朝日が線路を照らす。思ったよりも早く画角内に光が当たったことに安堵しつつ、構図を整えて列車を待つ。朝は列車が多いと言ってもチャンスは2回程度なので気は抜けない。駅発車時刻の1分前、学校脇の桜の下から、本日の主役が現れた。

 桜咲く二木島集落と東海色キハ。残しておきたい贅沢な風景を切り取れた。