キハ40系 No.043
「初夏の大志集落と只見線」 上井草俯瞰

只見線 会津中川〜会津川口

 赤青カラフルなトタン屋根が並ぶ会津の家々。只見線沿線でもその姿は多く見られ、統一感のある集落を東北地域色のキハが走り抜けていく様はとても絵になった。

 数ある地区の中でも、特に気に入っていた場所が大志集落だった。春には神社の桜が咲き、秋には家の脇にはざかけが並ぶ。四季折々、どの季節でも生活感ある美しい風景を見せてくれたが、やはり背後の山を含めた風景全体が淡い黄緑色に包まれる、新緑の季節が一番好きだった。

 この日は終日ド快晴。残雪抱えた飯豊山は激山、田んぼも徐々に水が入り、新緑も沿線一帯で最盛期。さらに日が昇ってもしばらく無風と、朝から右往左往大忙しだった。午前便を撮り終え、貴重な午後便をどこで撮ろうか。贅沢な悩みを抱えながら沿線を流していると、大志集落の田んぼにも徐々に水が入り始めていた。全ての田んぼに水が入り終わるまで待っていると新緑も終わってしまうので、今日がベストと考え、真横から俯瞰できる場所へ向かった。

 午後になっても一向に曇る気配の無い、抜けるような青空。穏やかな只見川は落ち着いた青緑の色となり、鮮やかな新緑に赤い屋根が映える。求めていた条件の元、全てに負けず主張できる只見カラーのキハがゆっくりと走り抜けた。