キハ40系 No.025 
「装いの尖岳と津軽線」 今別中沢ストレート

津軽線 大川平〜今別

 峠区間の一部を除いて沿線に紅葉のイメージがほとんどない津軽線。線路脇にこそめぼしい紅葉スポットは少ないが、一方で、遠くの山々は全体的に赤く色付く。その山と線路脇に拡がるススキや黄金の田んぼとが秋の雰囲気を盛り上げてくれる。

 その中でも大川平の東側に位置する尖岳は、その名のとおり三角形に美しい。毎年夏の終わり頃から、徐々にその色の変わっていく様子を見ながら秋の訪れを感じていた。

 ちょうど山々が赤く染まる頃になると、沿線では稲の収穫が最盛期を迎える。以前の撮影記のとおり、この時期は津軽線撮影強化期間ともなっていた。

 この日は朝から快晴。午前は浜名や峠区間をまわり、午後は大川平周辺に居座った。日没前最後の列車、尖山の紅葉が最も赤く染まるタイミングを狙い、収穫作業中の方に一声かけて田んぼの畦道に入らせてもらう。山と稲と杭掛けのバランスを考えながら立ち位置を吟味。迫り来る山影に怯えつつ、祈る気持ちで列車を待つ。

 あと10分はもたない。そう感じる辺りまで山影が迫ってきた頃、列車の音が聞こえた。夕日を全身に浴び、鮮やかさの増したタラコ2連が田んぼの中を走り抜けた。