番外編 No.012
「弘南鉄道キ105ラッセル列車」 六羽川築堤

弘南鉄道大鰐線 宿川原〜鯖石     

 未だ残る黒いラッセル車。製造から実に100年が経過しているという、動くことすら信じられないような車両が現役の除雪車として生き残っている。

 最近では降雪状況による突発運転だけでなく、事前に日時を決めた撮影列車としての貸切運行も増えたらしい。SL現役世代の撮り鉄からは「当時よりもよっぽど撮る機会を得やすい」と声があがっているらしいが、それでも本格的な雪跳ねも含めたV写真を求めると、ある程度は運に頼る部分も出てくるだろう。

 この日は一晩で数十センチの積雪が予想される予報だった。チャーター予約はしていないが、この予報ならば突発での運転があるだろうと踏んで現地へと向かう。

 朝起きて、車に降り積もった雪を見て笑みを浮かべる。まずは大鰐線の線路状況を確認。幸いにも夜明け前の除雪はされておらず、線間の雪は始発列車がスノープロウで削ったであろう高さを保ちながら、しっかりと残っていた。

 雪も降り止み、このまま落ち着く傾向だったので六羽川の築堤へ。背景に着雪満点のツリーが入る立ち位置を選び、ややアングルを高くして構図を作る。

 待つこと約1時間、予想していた時間通りにゆっくりと黒い守護神が現れた。