番外編 No.010
「夏井川を渡る落ち葉掃き列車」 大滝橋梁俯瞰

磐越東線 川前〜江田

 勾配区間での空転対策を主な目的として走る、通称落ち葉履き列車。たかがDE10の単機とは言えど、紅葉の時期に走る貴重な国鉄型。特に普段キハ40が来ない路線となれば、訪れるための理由としても十分な被写体だった。

 11月半ばは多くの地域で紅葉がピークを迎える大事な時期。この日の会津地区はパッとしない予報だったが、中通り〜浜通りは綺麗に晴れそうな雰囲気だった。ちょうど磐越東線の落ち葉掃き列車も運転日だったので、普段より東側を目指して家を出る。他路線との掛け持ちも難しい場所なので、寄り道はせずに現地へ直行。朝のうちには夏井周辺に着くことができた。

 夏井川沿いのハイライト区間。南側にいくつもある尾根筋の一ヶ所から見下ろすと、まるで単機列車のために用意されたかのように、木々の隙間から鉄橋の一部を覗くことができる。

 川の流れる轟音にかき消され、列車の気配は一切感じれない。夏井駅を発車して少し経った頃から気の抜けない時間が始まる。ファインダーから目を離すことができない中、頼りない枝に命を託してその時を待つ。

 だいぶ待ちくたびれた頃、何かが動く気配がした。暖色系の景色の中で一際目立つ青い鉄橋、ガーターの中央にDE10が乗った瞬間を狙ってシャッターを切った。