番外編 No.004
「DD16ラッセル列車」 宮本スノーシェッド飛び出し

大糸線 中土〜南小谷     

 北海道とは違い、定期運行の無い本州のラッセル。さらに特雪のように予告も出ないため、計画的に狙うことは難しい被写体だった。

 免許を取って最初の冬。やっと自由にどこへでも行ける身分に昇格し、雪のキハ52目当てに大糸線へ出向いた時、偶然にもそのチャンスが訪れた。

 昨夕から降り始めた雪は朝まで止むことがなく、道の駅でマルヨしていた自車は半ば埋まりかけていた。車の屋根に積もった雪を見るかぎり、20cm以上は降ったのだろう。凍りついたドアをなんとか開け、積んでいたスコップで雪をかいて出発した。降ったり止んだりの雪のなか、始発便から一通り撮影し、ひと段落ついたところで南小谷の駅へと向かう。ストーブが焚かれた駅の待合室は長時間アイドリング厳禁の金欠学生鉄にとって山小屋のような場所だった。

 そしてこの選択が吉と出た。かじかんだ足の感覚がやっと戻り始めた頃、駅のアナウンスで大雪の影響で午後は全便運休予定との知らせを聞く。そして駅員氏から「糸魚川よりラッセルがこちらに向かってきている」と教えてもらった。感謝の言葉を伝えてから待合室を後にし、大糸線らしさを求めて朝キハを撮っていたアングルへと急ぐ。

 ピントの目安になるものがほとんど見えないほど雪でけぶり、半ば不安の残る置きピンをしてモノを待つ。重くなった傘を何度振ったかわからなくなった頃、少し視界が効いてきたタイミングでシェッドの奥にライトが見えた。

 念願の大糸線ラッセル。特徴的な雪覆いをくぐり、勇ましく雪路を切り拓く姿を捉えた。