番外編 No.002
「DD14特殊排雪列車」 大田切川ストレート

上越線 関山〜妙高高原     

 先日、長く保留となっていた長岡のDD14がついに廃車回送されてしまった。

 長岡のDD14特雪と言えば、やはり非電化の只見と米坂だろうか。残念ながらその2路線の夢は叶わず終わってしまい、本当に心残りだった。しかしそれでも、最後まで残った信越本線の作業は何回かチャンスに恵まれ、出会うことができた。

 信越本線の作業は、全線運休にした上で丸一日かけて、ゆっくり作業しながら妙高高原を目指すスジだった。しかし末期の頃は、早朝から間を抜かしながら作業し上った後、折り返して残りの区間で作業をする、列車間合いのスジとなった。 このスジだと側方投雪が見られることが注目されていたが、個人的にはそれ以上に朝方の柔らかい光線で撮れることが嬉しかった。迫力を求めるなら、吹雪の中の作業や伝説の積雪3mブルドーザーだが、投雪列車ならではの雪のアーチが光り輝く様を撮るなら、晴れ写真が最適である。

 信越本線の特雪の写真といえば、ネットでよく見かける写真は、どれも見慣れたポイントの同じ角度の写真が大半。お世辞にも最高の画角と呼べる場所はなく、架線柱が気になってしまうものばかり。求めていた投雪シーンには程遠いものだった。

 そこで、オリジナルの場所を求め、地図や過去の記録を照らし合わせた結果、架線柱とは逆側へ雪を飛ばしている場所をみつけた。しかもスジが変わったことによって、非常に日の低い状態で撮影できる。失敗すれば切り位置のない日影写真になってしまうリスクも考えられたが、何より太陽は投雪側。うまくいけば雪が光り輝くのではないか。そう思いながら目をつけていた場所へ向かった。

 道路から撮れるお手軽定番場所の脇を通り、追っかけ効率ド外視で雪の中を何度もハマりながらひたすら進む。ちょうど線路がカーブしている位置で安全距離をとり、望遠で直線区間を狙う。電柱の処理が少し難しかったが、そこは仕方がない。線路にはしっかりと光が当たっていたので、その位置にピントを置き、時を待った。

 やがて待ちに待った音が聞こえてきた。この区間で、往路に作業をしてくれるかどうかという不安を拭うように、雪煙が遠くに見える。胸が高まった。このまま切り位置まで作業を続けてくれ…と、祈る気持ちでファインダーを覗き続けた。

 歩くような速度の列車が切り位置に差し掛かり、伸ばした羽根の先に光が当たる。わずかな時差の後、雪のアーチと朱色のカマが朝日に輝いた。