キハ40系 No.060
「秋風抜ける高山本線」 東八尾大築堤

高山本線 東八尾〜笹津

 毎年9月初めの3日間、越中八尾で行われる伝統行事、おわら風の盆。かつては全国から客レが集まり、キハ58やキハ181の臨時列車も運行されることで耳にする機会が多かったこのワードも、今ではすっかり撮り鉄離れしてしまった。

 そんなおわら臨も末期の頃、最盛期の頃を知る人からすれば物足りなく感じるキハ40の臨時列車が走っていた。普段はステンレスキハしか走っていない区間をキハ40が走行するとは言え、日常的に城端線で見られる組成、そしてお世辞にも風光明媚とは言い難い短区間なこともあり、周囲の仲間内では話題にすらあがらなかったような記憶がある。

 この日は天気予報も良かったので、前夜から富山入りした。おわら臨自体は午後からの運転だったが、せっかくなので午前中は富山地鉄を狙う。元西武特急やだいこん列車を中心にとりあえず来たものを撮るスタイルで時間を潰し、昼過ぎから八尾方面へ移動した。

 キハ58や速星貨物でお世話になった鵜坂の陸橋や、名所の第一神通川橋梁等を巡り、最後に東岸の大築堤を訪れる。稲もバッチリの色合いだったので、ラストカットはここに決めた。

 暑かった一日も少しずつ夕暮れへと向かっていく。心地の良い秋風が稲穂を揺らす中、3両のタラコ色編成が車体を輝かせながら走り抜けていった。