キハ40系 No.034
「白銀の高山本線」 第九宮川橋梁

高山本線 角川〜坂上

 雪の中のキハ40といえば、真っ先にイメージが湧くのは東北や北海道だろう。しかし同様に岐阜県の山深い場所を走る高山本線もまた、冬場の雪予報警戒を怠ってはいけない重要な地域だった。

 この日は前日が大雪、そして夜中のうちに降り止む絶好の予報だった。距離が長い路線だけに同じ雪予報でも区間ごとに着雪具合が全然変わってくるので、事前ロケハンが非常に重要となる。勝負は明るくなり始めてからの数時間なので、夜明け前に着雪状況を予め確認してエリアを絞り、始発の次の便から撮り始めた。

 まずは薄暗い夜明けの雰囲気で一枚おさえ、本命の場所へ移動する。雪が積もった時に撮ろうと以前から目をつけていたポイント。アングルこそ平凡だが、白キハの存在感がしっかり残る程良い距離感と、空カットの構図が作れる好条件の場所。しっかりと三脚を据えて、雲の切れ間から太陽が出ないことと、ツートンカラーのキハが来ないことを祈りながら、3本目の列車を待った。

 トンネルから現れた車両は希望通りの白白。ほとんど色のないモノトーンの世界に、東海カラーの帯がそっと華を沿えた。