キハ40系 No.032 
「浅葱色の日本海と羽越本線」 ホーヤ浜俯瞰

羽越本線 今川〜越後寒川

 景勝地として有名な笹川流れ。その中でも羽越本線の撮影地として、古くから親しまれている場所がこのホーヤ浜界隈だった。

 5月初旬には枯れ草色だった斜面もわずか半月で若草色へと変わり、海の色も透明度を増した浅葱色になる。太陽光度の高い時間帯には浅瀬の岩肌も映り込み、どの時期よりも鮮やかな海岸風景を見せてくれる。

 この年は臨時列車運転に合わせて組まれた急行色コンビがそのまま普通運用に入り、ベストシーズンの羽越本線を連日走っていた。天気もしばらくは安定して晴れる予報だったので、運用に従って追い続けられるように休みを取る。

 朝から羽越沿線で数ヶ所登り、いよいよ本命。アプローチルートは自然に還りつつあったが、それでも長年の踏み跡はしっかり残っていてくれたので楽に駆け上がれた。長編成向きの定番は一番海側になるが、今回は陸側の短編成用アングルにゲバを据えて待機する。昼前とあってだいぶキツい夏光線だが、海の色は理想通り。危惧していた水平線も許容範囲。あとは並行道路に目立つ車が来ないことを祈るだけだった。

 数々の列車が美しいシーンを作り続けた海岸線。形式は変われど、受け継がれてきた二色塗装の国鉄型気動車が静かに走り抜けていく。