キハ40系 No.031 
「新緑萌える石北本線」 常紋峠146kp

石北本線 生田原〜金華信号所

 石北本線の名所、常紋峠。数多くのドラマが生まれたこの区間はSL時代から聖地とも呼ばれ、現代でも訪れる人が後を絶えない。

 そんな常紋峠の中で最も人気の場所といえば、お手軽さとロケーションの良さを兼ね備えた146kpだろう。峠越えらしい不自然な線形の線路両側には紅葉樹が広がり、全てのシーズンにおいて季節感を演出してくれる。

 人気だったDD貨物は3往復から1往復に減り、重連からPPとなり、ついにはDF牽引となった。キハ40も新緑、紅葉、冬場とそれぞれのシーンを快晴で履修し、もう訪れることも無いかもしれないと思っていた場所だったが、2022年春の釧路車転属により状況は変わった。

 新緑シーズンも終盤、遠くの雪山も残雪少なくなってきた頃、石北本線の運用にタラコ2両が相次いで投入された。このまま運用が流れると、朝の常紋峠越え運用がタラタラになる予定。予報も勝率高めの晴れ傾向と、これとないチャンスが訪れる。予定の調整に多少の難はあったものの、出発当日までには完了、夜の飛行機で無事に現地へと向かうことが出来た。

 迎えた朝。予定の都合が合わせられなかった知人達からの怨念雲も現地には届かず、言葉通り雲一つない快晴となった。朝の別運用を定番でおさえ、メインの舞台へと移動する。相変わらず撮影者は多く集まっていたが、好みの立ち位置は楽に確保。遠くから踏切の音が聞こえ始めると、DD貨物の時に味わった以上の緊張感が全身を襲った。

 エゾハルゼミの鳴き声がこだまする、賑やかな峠にエンジン音も鳴り響く。シャッターを切り、ゆっくり走り去る列車を見送ると、自然に拍手が沸き起こった。