キハ40系 No.027 
「白銀の塩狩峠と宗谷本線」 塩狩伐採地俯瞰

宗谷本線 塩狩〜蘭留

 国道を車で走っていると、山道という感覚も無いまま素通りしてしまいそうな塩狩峠。キハ40が単独で越えられる程度と言えばそれまでだが、峠の南西側に位置する山の伐採地からは、山深い雰囲気と一緒に峠を下りてくる列車を撮ることができる。

 熊笹が茂る夏よりも冬の方が楽に行けるという実に北海道らしい場所。しかし冬場こそなかなか行き辛い、別の理由があった。

 冬の道北といえば、やはり一番に思い浮かぶ被写体は宗谷ラッセルだろう。数年前に音威子府の停車が大幅に削られて名寄到着が一気に早まったが、それまではほぼ丸一日追いかけ倒せるありがたいスジだった。前夜に降雪、木への着雪あり、快晴、そんなV条件の日にラッセルを撮らず南線区間に体がいるというのは、それはもう利尻富士が見える並に珍しいことだった。

 この日は天気こそいいものの、前夜の降雪が無い、ラッセル撮影には向いていない日だった。大人しく石北でキハ40と貨物を撮ることにして、朝の常紋界隈からスタート。昼から塩狩峠へ移動した。

 晴れた日中でも気温は氷点下。おかげで木々の着雪も消えず、文句のない白黒具合だった。走り去るキハ54を眺めながら構図を整え、キハ40が入るはずの快速なよろを待つ。

 いつ来るかわからない緊張感と、本当にキハ40で来るかの不安感に包まれながらファインダーを覗き続ける。音もなく現れた車両は願い通り。安堵の表情でシャッターを切った。