キハ40系 No.024 
「晩春の岩木山と五能線」 藤崎リンゴ畑

五能線 藤崎〜川部

 岩木山をバックに五能線を撮れる有名アングルといえば川部〜藤崎のリンゴ畑一帯だろう。

 混色なら奥のカーブ、色統一編成なら手前の直線と、車両の条件によって場所の使い分けをしたいところだが、中々それがうまくいかない。カーブと直線のどちらに構えても他方のアングルに干渉してしまうため、その日の立ち位置は最初に構えた人によって決まると言っても過言ではなかった。そのため、希望の場所で確実に撮るためには夜明け前から場所を確保する必要があり、お手軽アングルの割には苦労の絶えない場所だった。

 この界隈、特に定番の直線アングルは春になると年一番の彩りを見せる。岩木山は山頂に雪を抱えながら新緑に染まり、足元にはたんぽぽが色を添える。線路脇のリンゴの木には無数の白い花が咲き乱れ、まるで青森の春を凝縮したかのような光景が広がる。

 この日は岩舘から来る列車が鯵ヶ沢より白3連となる予定だった。その前に来るタラコ先頭の混色をメインとしてカーブへ行くことも一瞬頭をよぎったが、せっかくのシーズン。それはまた別の機会に先延ばしして、朝から直線側で場所を確保した。

 他所ではキハ40をメインで撮ってる人にはほとんど出会わないのが五能線だったが、なぜかこの場所だけはだいたい人がいる。この日も天気が良いからなのか、最終的に10人近くいて大盛況となった。

 ゆったりとした春の空気を感じ、待ちくたびれた頃に列車の音が聞こえてくる。予想外に1両長かった長編成のキハが花街道を通り抜ける。