キハ40系 No.023
「守門の雲海と只見線」 入広瀬ハーブ園俯瞰

只見線 上条〜入広瀬

 只見線小出口の中で、平地区間としては最後の町である入広瀬。小出を出て県境方面へ進んだ列車は、小さなトンネルを抜けると大栃山を迂回するように大きく弧を描き、入広瀬駅に入る。ほぼ360度、どの角度からでも撮り放題のΩカーブ。季節と時間によって撮り方が無限にあり、ちょうど天気の境目になることも重なって、幾度となく悩まされることがあった。

 このカーブの最も只見寄り、駅進入に向けてほぼ直線に入ったあたりを真横から狙えるのが通称ハーブ園俯瞰。晴れていれば権現堂山を背景に、大栃山やその手前の田園地帯を一緒に写すことができる。

 普段なら雲一つない快晴を求めるところだが、この場所は他が快晴、守門地区にだけ霧が出る条件になると、更に面白い風景となってくれる。

 この日は元々違う場所に向かう予定だったが、守門付近に溜まっていた濃霧は池ノ峠を抜けるとすっかり消え、入広瀬付近からは完璧な青空だった。求めている条件が揃っていたので、予定を変更。急いでハーブ園へ向かった。

 撮影場所に上がってみると、期待通りの青空に激山、そして守門の霧が雲海となり、絶妙なバランスで揃っていた。通過までに霧が消えてしまうことを危惧しながら、祈る気持ちで構図を整え、その時を待つ。

 山間に列車の警笛音がこだまし、音もなく踏切の警報機が光り始める。濃霧地帯を抜けた回送列車が、朝日を浴びながら緑の絨毯を横切った。