キハ40系 No.017
「満開の桜並木と只見線」 中宿踏切

只見線 大白川〜田子倉

 小出口の桜は綺麗に咲きにくい。これは磐西同様、非常に悩まされる問題だった。

 ある年は病気で咲かず、ある年は鳥に食べられ小振り。桜の開花情報がネットに上がるような路線でも無かったので、結局は下見目的で夜中に走り回り、ハズレ年と判断して別路線へ向かうことが何回もあった。

 只見キハから新津キハへと車両が変わり、時々見られるようになったイロモノ代走。ちょうど桜が満開の晴れの日に、タラコ代走が重なった年があった。

 この日は朝から若松側からスタート。雪が少なかった年なので、小出口で雪原の桜は狙えなかったが、冬季閉鎖が早期に開通しているお陰で東西の桜を掛け持ちできる。午後からの代走運用に備え、若松口午前便を撮り終えてから県境を越えた。

 小出口では最も遅い時期に咲く末沢発電所の桜。いくら面に光が当たるとはいえ、わざわざこの位置から後追いで撮ろうとする変わり者はいない。

 本当にタラコが来るのか一抹の不安を抱えながら構図を組んで列車を待つ。踏切が鳴り、出区後初運用の列車が近付いてくる。しっかりとケツにタラコがついてることを目視でき、ようやく安心してファインダーを覗き込む。

 満開の桜の下、ゆっくりと県境に向けてタラコキハが走り去る。