キハ40系 No.015
「残雪の浅草岳と只見線」 只見沢橋梁

只見線 田子倉〜大白川

 春は毎年、只見付近の県境に行く機会が多かった。4月半ば頃になると大半の雪は溶け、平地から奥地へ順に桜が咲いていく。ほどなくして平野に拡がる沿線の田に水が入り、緑一色の季節を迎えるまでは一息つく暇すら与えてくれない。

 春の前半戦は深く残る雪と新緑の組み合わせがメインとなる。積雪量が多い年では、桜が終わりを迎える5月初旬頃に新緑と残雪の組み合わせが見られた。

 まだ県境まで開通していない国道252号の福島側から入り、夜明けとともに状況を確認する。新緑の具合は順調だったものの、雪がだいぶ溶け、汚れて黒くなってしまっていた。今回は俯瞰はやめて、地上戦にする。

 この日の午前運用は盛岡色先頭の混色編成。まずは正面0角度で鬼が面バックをおさえ、折り返しは川原のアングルを選んだ。本来はこの季節だと側面が薄くなる場所だが、積雪による反射で多少は光ってくれるだろう。雪解け水が美しい只見沢を少し入れて、新緑中心の縦構図で構える。

 雪深い地域ならではの、温かい春の雪景色を盛岡色で切り取った。