キハ40系 No.012
「灼ける海岸線と五能線」 森山漁港俯瞰

五能線 陸奥岩崎〜十二湖

 海沿いを走る区間が非常に多い五能線。その沿線には漁港が至る所にあり、早朝には港へ戻る漁船の姿を数多く見ることができる。

 岩崎にある森山漁港はすぐ南側の茶衛門館跡付近から見下ろすことができる。ここは漁港の奥に砂浜、そしてその脇を走る五能線という贅沢な俯瞰構図となる。特に順光になるA77運用は週末になるとタラコペアが入ることが多く、深浦以北からの追っかけ先としても最適だった。

 しかしこの場所、良い条件を求めると意外にも難易度が高い。大抵は晴れていても然ヶ岳から湧いた雲が流れてきてしまう。そのため、すぐ脇のガンガラ岩構図では雲一つ写らない日でも、こちらは背景の空が雲だらけ、海も反射で真っ白になってしまう。こんなことが多かった。

 この日は高気圧直上というバリ晴れ確定日。朝練メニューをこなし、鯵ヶ沢近辺からA77を追いかけることにした。轟木付近にて深浦以北のラストカットをおさえ、追良瀬にて恒例の雲観測を行う。狙いの構図の背景となる方向に雲が一つもないことを確認し、期待に胸を膨らましながら撮影地へ向かった。少し昼寝したい気持ちを抑え、早々に岡を登る。

 砂浜には白波が立ち、須立山の稜線はくっきり。海岸線の奥には青々とした田んぼまで写り込む、文句のない好条件。既に編成も確認済なので、安心してゆっくり列車を待つ。

 小さな漁村の家並みと、灼ける砂浜。波の音が心地よい。箱庭風景の中を、タラコ色のキハが通りすぎた。