キハ40系 No.010
「晩秋の中山峠と磐越西線」 磐梯熱海俯瞰

磐越西線 中山宿〜磐梯熱海

 磐西のキハといえば会津若松〜新津の非電化区間を思い浮かべるのが普通だが、稀に他路線貸出の回送等で若松以東の電化区間を走ることがあった。その途中にある中山峠は、新緑と紅葉のピーク時には沿線随一と言っても過言でないほどの美しさを誇る。近年は銀色電車の独壇場だが、この年はキハの送り込み回送が紅葉の時期に当たった。

 朝一に非電化区間で霧との戦いに勝利し、山を駆け下りて列車を追いかける。それでも次の撮影までに小一時間の余裕はあった。あいづライナーとは違い短編成のため、定番の鉄塔よりもサイド気味、電柱や道路が木に隠れる立ち位置を選ぶ。半逆光の斜光が谷を浮かび上がらせ、ややピークを終えた赤い葉を鮮やかに輝かせる。

 慣れない峠を越えた急行色が、車体を光らせながら勾配を下っていく。