キハ40系 No.006
「小暑の日本海と羽越本線」 岩ヶ崎海水浴場

羽越本線 村上〜間島

 海沿いを走るロケーションの良さに反して、キハ狙いの人をほとんど見ない路線。それが羽越本線だった。いくら電化されているとはいえ、新津の急行色を海と撮れる唯一の場と考えれば無視できない路線だった。

 海水浴場や特徴的な岩場、小さい漁港に古い家屋。ロケーションに恵まれた場所が多数ある沿線の中で、海を手前に入れて午後の下り列車を順光で撮れるのがこの場所。船蔵のような古い建物、釣り場として知る人ぞ知る岩場と砂浜、そして夏場は羽越らしい青の海が迎えてくれる。

 この日は酒田〜村上を午後に往復する、海沿い区間で撮るには最も良い運用に急行色が入っていた。それも臨時運転直後で編成の色が揃った状態。そして天気は時間が経つにつれ徐々に回復していく予報と、絶好の条件だった。

 午前は山形県内を回り、午後にメインの海沿い区間へと向かう。この頃には青空が広がり始めていた。 期待を胸に小高い丘へ登る。梅雨明けの透き通った空気の先に、遠く飯豊山系の山々も姿を見せていた。

 時折太陽を隠す雲に不安を抱きながら待つこと小一時間。村上駅で折り返した急行色が再び夕暮れの酒田を目指し走り抜けた。